中学受験の受験校・併願校の選び方や決め方、戦略の立て方をご紹介します。偏差値に合う適正校の他に、熱望している第一志望校やチャレンジ校、滑り止めになる安全校など、平均すると6校ほどは受験する中学受験。
この記事では受験科目や受験スケジュール、入試の流れを紹介しています。
具体的な偏差値帯ごとの併願パターン例や受験スケジュールの組み方についてお伝えしますので、受験スケジュールの組み方に悩んでいる方は参考にしてみてください。
各県の受験日程や時期は?
中学受験を考えた時に真っ先に思い浮かぶのは私立の中学ですが、数は少ないながら公立中高一貫校を受験することもできます。
私立を公立中高一貫を併願することも可能なので、関東圏と関西圏の公立中高一貫校における受験スケジュールと、私立中学校の受験の流れをご紹介します。
公立中高一貫校の受験スケジュール
関東圏の場合
関東圏の公立中高一貫校の受験日程を月ごとにまとめます。
- 12月:千葉の一次検査(12/10)
- 1月: 茨城(1/7)、栃木(1/7)、埼玉(1/14or1/15)、群馬(1/21)、千葉の2次検査(1/24)
- 2月: 東京(2/3)、神奈川(2/3)
千葉県は12月と1月と2回検査があります。通常、公立中高一貫校は1校しか受験できないのですが、埼玉だけは条件つきで2校併願できます。
年度によって多少日程は前後しますが、12月から2月まではこのようなスケジュールになります。
関西圏の場合
関西圏でも同じように、公立中高一貫校の受験スケジュールを確認しておきましょう。
- 1月:滋賀(1/14)、京都(1/14)、大阪(1/21)、和歌山(1/21・1/22)、兵庫(1/29)
- 2月:兵庫(2/4)
兵庫は学校ごとに受験日が異なりますが、他は府県内で同じ日に行われます。また、和歌山では1日目が適正検査、2日目が作文と2日間に渡るので注意してください。
こちらも年度によって多少日程が前後することもありますが、ほとんど変わらないと思って良いでしょう。
私立中学校(私立中高一貫校)の受験の流れ
私立中学の各県における入試解禁日をご紹介します。
関東の入試解禁日(その県で私立中学入試がスタートする日)というのは、毎年変わらず固定です。
土日だろうと平日だとうと、毎年同じ日から中学入試が開始されますのでご注意くださいね。
一方、関西の私立中学の入試スタート日は統一入試日として、2府4県で同じ日を設定しています。
ただし、こちらは毎年固定の日になっているわけではなく、毎年日付が変更されます。
だいたいは1月中旬の土曜日が入試解禁日(統一入試日)となることが多いです。
関東圏
11月・12月 帰国子女枠入試
1月10日~ 埼玉
1月20日~ 千葉
2月1日~ 東京・神奈川
関西圏
来年度(2024年)の統一入試日は1月13日(土)~です。
過去5年間の日程も確認しておきましょう。
- 2024年 1月13日(土)
- 2023年 1月14日(土)
- 2022年 1月15日(土)
- 2021年 1月16日(土)
- 2020年 1月18日(土)
- 2019年 1月19日(土)
受験の種類や科目、入試の流れは?
中学受験はここ数年だけ見てもめまぐるしく変わってきています。
受験の方法や科目に特徴があったり、午前だけもしくは午後だけで受験できる学校もあります。
受験科目や種類、入試の流れについて詳しく確認しておきましょう。
多様化する受験の種類
私立中学の入試では、国語・算数・理科・社会の4科目、もしくは国語・算数の2科目が一般的でした。しかし、公立中高一貫校が誕生し実績を伸ばしていく中で、「適性検査」を取り入れる学校が増えてきました。
他にも、「プログラミング入試」や「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」などがあります。これは、プログラミングが小学校の新学習指導要項において必修となったことや、急速に進むグローバル化などが背景にあると考えられています。
このようにただひとつの正解を導くだけではなく、様々な答えを導ける能力が重視されつつあるのです。
1科受験や2科目受験とは
「算数1科受験」や「国語・算数の2科目受験」といった自分の得意分野で勝負できるような学校も増えています。
勉強に限らず、日本人は「良いところを伸ばすよりも悪いところを直すことが大事」と考える傾向にあると感じます。
かつての中学受験では、国語・算数・理科・社会の4科目において満遍なくいい点数を取れることが大事でした。そのため嫌いな科目や苦手分野に重点を置いて勉強に励んだ方も多いでしょう。
しかし、今では得意な1科目、もしくは得意科目選択型といって4科目のうち好きな2科目など、受験科目の選択肢が広がっています。
午前入試と午後入試
例えば東京や神奈川では、2/1と2/2の午前に受験日を設定している学校が多くあります。そのため、学校側としては優秀な生徒が他の学校へ分散してしまうというデメリットがあります。
そこで、2/1や2/2の午後に受験できる「午後入試」を取り入れる学校があります。
午後入試では1科目受験のように教科数を減らした受験スタイルを取っていることが多く、合格発表までの時間が短いことも人気となっています。
このように午後入試をうまく活用することで、通常の午前入試では併願できなかった学校を午後に受験できるようになったのです。

長女の中学受験の時と次女の時では、各学校の偏差値も大きく変化していました。
各学校、受験の種類や受験日を増やしていたりと、色々と変化していますので、必ず最新情報をチェックしてくださいね。
受験校の選び方・決め方
プログラミング受験や1科目受験、午後入試など特色のある試験を取り入れている学校が増えてきたことで、受験校選びも難しく多様化しています。
受験校選びは「自分自身が行きたい学校かどうか」ということが重要ですが、どのような試験を行っているかをきちんと把握することも必要なのです。
例えば算数が本当に得意!だけど他はそうでもないのであれば、算数1科目受験を導入している学校をピックアップして受験校を決める方法があります。
また、行きたい学校が定番の4科目受験スタイルであれば、他に受ける学校もなるべく4科目受験で揃えるなども有効です。

時間がないから理社を外して、算数と国語の2科目に絞って受験する!という作戦を某テレビ番組の受験密着シリーズでやっていましたね。2科目だけで受験できる学校を探すわけですが、、行きたい学校があれば良い作戦だと思います。
選び方や決め方に正解はありません。
しかし、4科目の勉強に加えて、英検を受けて自己アピールの練習をして、プログラミングもマスターして…となると全てが中途半端になる可能性もあります。
頑張った経験は無駄にはならないのですが、中学受験だけを考えるとマイナスになることもあり得ます。
様々な受験スタイルが出てきて選択肢が増えましたが、受験科目はある程度ポイントを絞った方が良いでしょう。

ちなみに英検ですが、ただアピールポイントとして記入する欄が設けられている学校や、しっかり●級取得で●点をプラス、と募集要項に記載がある学校など、学校によりさまざまです。
気になる学校の募集要項をしっかり確認し、プラスαの加点があるのかチェックしましょう。ただし、加点があるとしても英検3級以上が対象となる学校が殆どです。
受験スケジュールの組み方
行きたい学校の候補が出揃ったら、受験スケジュールを考えます。
- 受験日(午前・午後も含めて)
- 第一志望の学校を受ける前に、他の学校の試験を受けておくかどうか
- 公立中高一貫校を受験するかどうか
- 合格発表日
午後入試は行きたい学校の選択肢が広がりチャンスが多くなる一方で、翌日の試験で疲れが出てしまう可能性もあります。
また、盲点なのが合格発表日です。
第一志望の学校の合格発表が1番最後だと、それより早く合格した学校へ入学金を払うかどうか悩んでしまいます。合格発表日と入学金振込までの猶予期間のことも、頭の片隅に置いておくといざという時に慌てずに済みます。

東京の学校を第1志望にしている受験生が、先に実施される埼玉や千葉で、今の力を確認すべくお試し受験をしたり、1校合格をもらうために抑えの学校を受験したりしている場合がありますね。
手付金のように数万円だけを先に支払い、東京での受験結果をみてから全額を支払うかたちをとってくれる良心的な学校もあります。
募集要項で入学金の振り込み期限については必ず確認しましょう。
偏差値ごとの併願パターン例
受験スケジュールを組む上で、偏差値帯を確認しましょう。
それぞれ、偏差値65以上、55以上、45以上に分けて具体的な受験スケジュールの組み方をお伝えします。
なお、こちらでは四谷大塚の偏差値一覧(https://www.yotsuyaotsuka.com/njc/deviation_top.php)を参考にして記事を作成しています。
★偏差値の数値は、模試の種類や塾によって変わりますので、その点はご承知おきください。
「東京都に住んでいる男子、千葉や神奈川も通学圏内」を想定して具体的な併願パターン例を考えてみます。

自分の偏差値は、受験前からみて過去5回の偏差値の平均を自分の持ち偏差値として考えると良いようですよ。
自分の持ち偏差値から判断して受験校や併願校を決定しましょう。
第1志望校が偏差値65以上の場合
第一志望を開成に設定したとします。
開成(偏差値72:以下学校名後のかっこ内は偏差値の数値とします)は2/1が受験日です。
- 1月:栄東『東大特待』(66)、市川(65)、東邦大東邦(61)
- 2/1:開成(72)/PM 巣鴨『算数1科』(64)
- 2/2:渋谷教育幕張2次(69)、渋谷教育渋谷2次(68)
- 不安な方は→2/2:本郷2次(63)、攻玉社2次(61)
- 2/3:都立小石川(68)、早稲田2次(67)、海城2次(67)
- 2/4:芝2次(64)
開成中学の合格発表は2/3です。
万が一の時のために2/4以降の学校も下調べしておくと安心です。また、2/1午後の巣鴨算数1科(64)の受験も検討しても良いでしょう。

開成の前に埼玉の栄東中学校(東大特待)を受験し、今の自分の立ち位置を確認するのもおすすめです。開成や渋幕を第1志望とする受験生達の多くがお試し受験をしますし、こちらの学校では得点の開示もあるので、どのくらい仕上がっているのかがわかります。
また、開成の前に千葉の市川中学校を受験し、1つ合格を取っておくというのもいいですね。子どもは1つでも合格をもらうと、安心して更にやる気がアップする場合が多いからです。
ただし、寒い季節だけに、本番前の大切な時期にあっちこっちと動いていると疲れますしインフルエンザなど感染症にかかり体調を崩すことも考えられますので、よーく子供や塾の先生、親子で相談して受験校をきめてくださいね。
★上記は男子校と共学校の両方を含めた受験パターンになっています。
別学か共学か、の選択に迷われている方はこちらも参考にしてくださいね。↓↓


第1志望校が偏差値55以上の場合
第一志望を芝中学(60)として考えてみます。芝中学は2/1が受験日です。
- 1月:立教新座(59)、専修大松戸(53)
- 2/1:芝1次(60)/PM 巣鴨『算数1科』(64)
- 2/2:青山学院(59)、世田谷学園2次(56)
- 不安な方は→2/2:学習院(54)、高輪2次(54)
- 2/3:学芸大世田谷(58)、学芸大竹早(57)、都立両国附属(61)
- 不安な方は→2/3:成城2次(55)
- 2/4:芝2次(64)
1月中に埼玉の立教新座中学校(59)や千葉の専修大松戸中学校(53)などを受けて試験の感覚に慣れておくのもおすすめです。
算数が得意であれば、2月1日の午後に巣鴨算数1科受験を持ってくるのもありだと思います。
第1志望校が偏差値45以上の場合
第一志望を桐蔭学園(49)として同じように併願パターンを考えます。桐蔭学園も受験日は2/1です。
- 2/1:桐蔭学園(49)/PM 明治学院(46)
- 2/2:國學院久我山2次(52)、桐光学園2次(49)
- 不安な方は→明治学院2次(44)
- 2/3:学芸大小金井(50)
- 不安な方は→日大第二2次(46)、桜美林(47)
他にも明治学院の1次試験(46)が2/1の午後に行われます。スケジュールが若干ハードになりますが、そちらを併願校に組み込んでも良いと思います。

2月1日は行きたい学校、チャレンジ校でも第一志望校を受験するのが良いと私は思っています。なぜなら、都内の殆どの学校が2/1に受験日を設定しているので2/1は受験生が分散するからです。
2次、3次試験となってくると、本命受験に不合格だった強者が流れてくるので、後になると合格偏差値も高くなってきます。
ただ、2/1を自分の持ち偏差値と同等の適正校の受験にすると合格率はかなり上がると思いますので、2月1日をどうするかの作戦は受験間近の偏差値や仕上がり、本人のメンタルなどを考慮し決定してください!
まとめ
中学受験は、ひと昔前だと国語・算数・理科・社会の全てにおいて一通りできること、いわゆる「お勉強ができること」が重要でした。
しかし、現在は様々な「個性」を求める傾向にあります。
4科目の総合で考えると手が届かないような学校でも、自分の得意を生かして受験することで合格を勝ち取ることも可能なのです。
他にも午後受験などをうまく活用しスケジュールを組むことで、合格のチャンスは格段に増えます。
このように、中学受験の受験校を決める際には、しっかり戦略を立てることが合格への近道となるのです。
受験校や併願校を決める際の参考にしていただけたら幸いです。
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